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・ ・ ・おでこにひんやりした感覚・ ・ ・
・ ・ ・気持ちいー・ ・ ・
うーん・ ・ ・それにしても・ ・ ・頭・ ・ ・重い・ ・ ・
私はまだ離れたがらない瞼をなんとかして、こじ開ける・ ・ ・
「あ・ ・ ・気がついた?」
遠慮がちな声・ ・ ・
え?・ ・ ・ ・えぇーーーーーっ?!
声の主は・ ・ ・クリフくん・ ・ ・
ひょっとして・ ・ ・
「ドクターが心配するの通り越して、怒ってたよ」
それって、やっぱり・ ・ ・
一応、確かめてみる。判りきってることなんだけど・ ・ ・
「ついてて・ ・ ・くれたの・ ・ ・?」
「・ ・ ・うん・ ・ ・」
どう答えようか迷ってるみたいな言い方。
それって・ ・ ・寝顔とか・ ・ ・見られてたってこと?!
はずかしーーーーーー!!!!!
私ってば寝言とか言ったりしてないよね・ ・ ・
もう滅茶苦茶恥ずかしくて、私は掛け布団を頭のてっぺんまで
引っ張り上げた。
「何か食べた方がいいよね・ ・ ・僕、何か作ってくるよ」
クリフくんもどうしていいのか分からないみたいで、
すぐに部屋から出て行ってしまった。
あっ!お礼・ ・ ・
たぶん、ドクターのこと呼びに行ってくれたのも、
タオル、替えたりしてくれてたのも、クリフくん、だよね。
けれど、クリフくんはもうキッチンの方に行ってしまってる。
私ってば・ ・ ・バカ・ ・ ・
看病してくれてたクリフくんにお礼も言えないなんて・ ・ ・
キッチンからは時々、ガチャン・ ・ ・!!とか、ゴトッ・ ・ ・!!
とかなんだか、ちょっと心配になってくるような音が聞こえてくる。
大丈夫なのかな・ ・ ・
なんだか落ちつかなくて、そーっとベッドから降りて
キッチンを覗いてみる。
背中しか見えないけど・ ・ ・あんまりお料理、慣れてるって
感じじゃなさそう・ ・ ・
あっちの材料を手に取ったり・ ・ ・こっちの材料眺めたり・ ・ ・
包丁もなんだか危なげ・ ・ ・
私はとりあえずまた、そーっとベッドに戻って、一応、横になる。
自然に笑みが浮かんでくる。
なんか・ ・ ・かわいい・ ・ ・
男のコのこと、かわいい、なんて怒られるかもしれないけど・ ・ ・
慣れないお料理を一生懸命してくれてるのって・ ・ ・なんだか・ ・ ・
ガチャン!!
「熱っ・ ・ ・!!」
声と派手な物音が聞こえたのは、ほとんど同時だった。
「大丈夫?!」
私は自分でもビックリするような素早さで、ベッドからキッチン
−−−−−−−正確にいうとクリフくんのすぐ隣へ移動していた。
「ごめん、驚かせちゃって」
クリフくんはちょっとバツが悪そうに目をそらせて、
手を後に隠している。
「ちょっと見せて!!」
強引に隠してる手を引っ張る。
「いっ・ ・ ・つ・ ・ ・!!」
見ると手が真っ赤になってる。
「やだ!!やけどしてるじゃない?!すぐに冷やさないと・ ・ ・」
言いながら私はグイッっと勢い良く水道の栓をひねると、
流れ出す水に彼の手を突っ込んだ。
「・ ・ ・ごめん・ ・ ・なんだか反対に迷惑かけちゃって・ ・ ・」
クリフくんは申し訳なさそうに俯いている。
「やっぱダメだよね、慣れないこと、すると」
クリフくんのちょっと悔しげで、辛そうな顔が・ ・ ・なんだか切ない・ ・ ・
そんなこと、ないよ・ ・ ・
だから・ ・ ・そんな風に落ち込まないで・ ・ ・
クリフくんが私のために慣れないお料理、一生懸命やってくれたこと、
すごく嬉しかった・ ・ ・
その気持ちはあっという間に、心の中、一杯に広がって・ ・ ・
そんなクリフくんが、とても、愛しくて・ ・ ・
不意に・ ・ ・
私はクリフくんの横顔に自分の顔を近づけて
頬にそっと、キス、していた・ ・ ・
一瞬の間をおいてクリフくんは、私を振り返って真っ赤になった。
その顔を見て、私も自分のしたことが急に恥ずかしくなって・ ・ ・
「・ ・ ・ご、ごめんなさい・ ・ ・」
ほとんど反射的に自分の部屋に飛び込んで、バタン!!と
思いっきりドアを閉めてしまった。
ど、どーしよ・ ・ ・
私ってば・ ・ ・私ってば・ ・ ・
すっかりパニックになって、私は、そのまま、また、ベッドに
もぐり込んだ・ ・ ・
急にバタバタと動いたせいなのか、私の意識はすぐにすーっと
遠のいて、次に気付いたときには、もうクリフくんはいなくなってて、
キッチンはすっかり綺麗に片付けられていた・ ・ ・
クリフくん、ビックリしてたな・ ・ ・
とんでもないコだって、思われちゃった・ ・ ・
私はどんよりとくらーい気持ちで、また、ズルズルと
ベッドにはいあがった・ ・ ・
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